第十四話 エピローグ
聖歴2242年、夏期 初めの月 聖王国立大学食堂
「こうして、波乱の大使襲撃から王帝会議までが終わり、王国と帝国の戦争に突入したという流れだ。」
そういってジョシュアを見る。どうにも不満そうだ。
「ちょっと待てよ、ノリス。今話したのって、王帝会議を妨害しようとした勢力がありました、撃退しました、お互い戦争しないようにしましょうねって流れだったじゃねぇか。」
「そうだな。だが、王国側はプレヴェール伯爵が、帝国側はキースリング辺境伯がお互いに国内勢力を戦争へと煽ったんだ。王国側はラドクリフ王子がメモ魔だったようだし、帝国側はバルツァー宮廷伯がメモ魔だったようだ。今話をしたのも、大部分がこの二人の日記から分かったことらしい。正式な記録も虫食い状態で残ってはいるんだが、大戦争で散逸してしまったか、片方の国の資料しか残っていないなどもあったらしい。ただ、キースリング辺境伯は護衛で活躍したアクスのことを、ことあるごとに『あいつさえいなければ』と書いてたらしいぞ。」
それを聞いたジョシュアは、まぁ、あれだけイレギュラーな動きをされたら、そりゃ予想がつかないよな、とこぼしていた。
「なんにせよだ。あくまでも今の話は、山賊騎士団と呼ばれたアクスたち第13騎士団が、初めて国外勢力に認知されたって事件の話だ。そして、ここから冬の間に王国と帝国で大使襲撃事件の調査と協議が始まり、そして決裂する。その後は近隣諸国を巻き込むというか、火事場泥棒してやろうってくらいの気持ちで自ら突っ込んできたことで、歴史に残る大戦争になったんだろう。」
「いや、それは良いんだけどよ。ここで終わりじゃ、なんかスッキリしねぇんだよなぁ。」
ノリスは思う。そりゃそうだろうが、あくまでもこれは話の始まりだと最初に説明したんだが、と。
「この後を知りたければ、真面目に講義を受けたら良いんじゃないか?あと、完全に史実ベースでは無くなるが、この時代をベースにしたゲームもでてるから、それで遊んでみてキーワードをつかむのも良いんじゃないか?」
そうしてスマートフォンでゲームを調べ始めたジョシュアを横目に、デザートのヨーグルトを口に運ぶのだった。
これにて、「聖王国の山賊騎士団」の第一章は終了です。
第二章は、ある程度書き溜めてから投稿したいと考えていますので、少し間が空く予定です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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