第二章・あなたといつもいられたなら5ー②
アダムは魔導士としてはどちらかと言えば、万能型の中でも攻撃型であり、火、水、風などの物理的な魔力値が高かった。
故に、体調の良くないギルバートを瞬間移動して、家に送り届ける事も容易かった。
だが、ほんの少しの時間でもギルバートと話したいという、そんな欲望から送り届けるのに時間が掛かり、結果こうして足留めを食らってしまった。
ブランドンから根掘り葉掘り聞かれては、曖昧な答えを返す。
気に進まないのがありありと分かるアダムにも、浮かれたブランドンは気付きもしない。
「貴方程の魔力があれば、その顔の面は取れるのでは?何故、その美しいお顔を隠されるのですか?」
「今も、私の顔を見ているのか。……それ以外も」
「す、すみません!私は、どうしても弟を構い過ぎるきらいがあって、ギルの友人である貴方の奥底にあるものを知りたくて」
確かに、体のあちこちを覗かれているような感覚がある。
だが、ガードに関してはアダムの方が格段に上ではあったので、いくら探ろうとしてもブランドンには闇に包まれているように感じられているだろう。
ブランドンの能力は、傷や病症を正しく見抜くのに役立つが、もしも全ての人間に対して、こうして奥まで覗き見しているとしたらと考えるとゾッとした。
「その力を、人を癒やす以外に使わない方が良い」
「つ、使っていません!それが人の道から外れているのは解っていますし、それをしてはならないと聖殿からも……」
「なら、何故、私には探りを入れる?」
「ですから、弟の友人として……」
「だったらもう、私の人となりはとっくに見抜いているだろう。なのに、どうして今も視ようとする?」
それ以上、言い訳のしようもない。
ブランドンは、まるで叱られた子供のように肩を落として俯いてしまった。
「そ、それは……私が、貴方の事を……」
ブランドンから聞きたくもない言葉を聞かされる前に、アダムはそれを遮った。
こういう経験は、これまでに何度も体験して来た。
一般人からは、この見た目で畏怖される。
だが、同じ魔導士には、自分はとてつもなく魅力的に感じるらしく、まるで砂糖に群がる蟻のように集られる。
ブランドンもまた、アダムの超絶なる魔力に惹き付けられていた。
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