葛藤

実を言うと、僕の、父さんも心に異星人が

寄生した、ニュータリアンズだった。

けど、何があったか、気が触れて僕の母さんを射殺した。

ほぼ、赤ん坊だった僕は、父さんが母さんを

撃った日たまたま、叔父の家に預かられて

いて、無事だった。けど、父さんは例の

タリアンズがど~のこ~のと、支離滅裂な

事しか、言わず、警察の目を盗んで自ら

地獄へ堕ちた。死んじゃったよ結局…

僕の大切な両親は、タリアンズに奪われ

たんだ。

世界には、タリアンズが

自分の

心に寄生すると、主張する人がいっぱいいる

んだ。何百万人と。

あえて、寄生する。とは、言わないアンディのような、おめでたい奴もいるし、

父さんみたいに、心に寄生した、タリアンズに神経を蝕まれて大事なものを

失う人もいる。

タリアンズが人間社会に与える影響は、図り知れない。

僕に仲間は、いるのか…一人いる。朝食の

クロワッサンを買ってきてくれた、ソフィーだ。

フランス生まれ、パリ育ちの彼女は、

実の両親を思春期の前に亡くしてる。

彼女の両親、マルコとアヤは、素朴な画を

描く画家だった。ベジタリアンでもあった。

しかし、最初にマルコがイカれて、アヤも

その後を追った。二人の心にタリアンズが

寄生したのだ。ジャンクフードを食べ

ブクブクと太ると体中にオイルを塗り、

恥部を隠す、きわどいラインの下着をはいて

パリの街を悠々と幼いソフィーを連れ闊歩

した。

両親は、タリアンズの教えを実践したまでだ

ソフィーの両親は、レース用の

レーシングカーに乗って崖から海へ

真っ逆さま。死んでしまった。

ソフィーは、僕に言う。きっと心の中にいた

、タリアンズインベーダーが、両親を殺して

しまったんだ…って…

僕は、ふと8つの時、チャックといた、庭先の出来事を思い出した。叔父が、

愛犬チャックを殺す理由なんてなにもないのに…もしかして叔父さんの心にタリアンズが

寄生してたら…

ミック?大丈夫?

ソフィーのメロウでスウィートな声が

僕をトラウマから呼び戻す。

あぁ平気…僕ら似てるね。両親を、

心に侵食するスペースインベーダーに

奪われたんだって。

彼女は、右手の小指を上げた。

約束よ。もし、アンディとか、

ニュータリアンズに私が襲われでもしたら

私を守るって…

うん。分かった約束する…

僕らは小指を絡めた。


約束は、結局守れなかった。彼女の変わり

果てた姿を前にして、あの日、犬を撃った

後の叔父の姿を思い出して今の僕と照らし

合わせた。

アンディに殺されるなんて…

奴は、彼女の里親にも非業の限りを尽くした

動機を喋らぬまま、自身の喉元にナイフを

突き立てる。もうこの世に奴は、いない。

僕は、何もしたくなかった。けど、この怒りをどこに向ければ良い?そうか。死んだ奴

には、月に1度会って話しをする仲間がいるんだ。

市民センター、ニュータリアンズの集い。

僕は、ネットで買ったハンドガンを手に

復讐を誓う。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る