こんな大河ドラマが見たい③ 『武田信玄の夫人、三条殿』

第6話 甲斐の猿橋

### 大井夫人の決意

秋の風が冷たくなり、夕日が山々を赤く染める頃、大井夫人は信玄の成長を思い描きながら、心に秘めた信虎への思いを新たにした。

### 信玄の成長

信玄が成長するにつれ、大井夫人は彼が父、信虎のように強い武士になることを期待していた。彼女は、信玄にその教えを授けるため、日々の稽古を見守り、時には言葉をかけていた。

**大井夫人**：「信玄、武士としての心構えを忘れてはいけない。あなたが甲斐を守る存在になるためには、内に秘めた強さが必要なのです。」

信玄は母の言葉を胸に刻み、真剣に剣術の稽古に励んでいた。

### 戦乱の影

しかし、戦の気配は依然として大井夫人の心をざわつかせていた。信虎が敵との接触を持つたびに、彼女の心は不安に包まれる。

**大井夫人**（心の中で）：「この戦がいつ終わるのか、信虎が無事に帰ってくるのか…」

彼女は毎晩、信虎の帰りを待ちながら、家族の安寧を祈ることを欠かさなかった。

### 突然の知らせ

ある日、信虎が戦に出たまま帰らぬとの噂が流れた。大井夫人はその知らせに驚き、胸が締め付けられる思いだった。

**大井夫人**：「信虎…本当に帰ってこないのか…」

彼女は不安に苛まれながらも、信虎が残した言葉を思い出し、冷静さを取り戻そうとした。

### 未来への希望

信虎の不在は彼女にとって試練であったが、信玄の成長と家族の絆を守ることが彼女の使命であると再認識した。

**大井夫人**（決意を込めて）：「私がこの家を守らなければ、信虎の思いも無駄になる。信玄と共に、私たちの未来を築くために戦うのだ。」

### 新たな戦い

その日以来、大井夫人はただ待つだけではなく、家族を守るための行動を起こすことに決めた。彼女は村人たちを集め、協力し合い、戦乱の中でも生き残るための対策を練った。

**大井夫人**：「私たちが手を取り合えば、どんな困難も乗り越えられる。信虎のため、信玄のため、私たちの甲斐のために！」

こうして大井夫人は、信虎の思いを胸に、家族と共に新たな戦いを始めるのであった。彼女の心には、愛と希望が灯り続けていた。

　### 甲斐の猿橋に現れた志羅呼の妖怪

春の暖かい日差しが降り注ぐ甲斐の猿橋。周囲の山々は新緑に包まれ、村人たちが穏やかに暮らしていた。しかし、そんな平和な日常が破られる時が来た。

### 妖怪の出現

ある晩、村の人々が集まる居酒屋で、噂が立った。「志羅呼の妖怪が現れた」というのだ。彼は村の近くの森に住んでいるとされ、姿を現した者は取り憑かれると言われていた。

**村人A**：「見たんだ！あの不気味な姿を！目が真っ赤で、全身が青白く光ってた！」

### 大井夫人の決意

この話を聞いた大井夫人は、村人たちの恐怖を和らげるため、妖怪に立ち向かう決意を固めた。彼女は信玄を育てる母でありながら、甲斐の地を守る戦士でもあった。

**大井夫人**（心の中で）：「私がこの村を守らなければならない。信虎も見守っているはず。」

### 妖怪との対峙

夜が更け、月明かりの下、彼女は妖怪の出没地点とされる森へ向かった。心の中には緊張が走ったが、彼女の決意は揺るがなかった。

森の奥深くで、妖怪の姿が現れた。青白い肌、赤い目を持つ志羅呼の妖怪は、彼女をじっと見つめていた。

**志羅呼の妖怪（ドン小西）**：「なぜここに来た？恐れずに私に近づくとは、愚か者だ。」

### 大井夫人の覚悟

大井夫人は一歩前に出た。恐れはあったが、村人たちを守るためには引き下がれない。

**大井夫人**：「あなたが村を脅かしていると聞いた。私がこの地を守るために来た。」

### 妖怪の反応

志羅呼の妖怪は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに冷笑を浮かべた。

**志羅呼の妖怪**：「面白い。人間の女性が私に立ち向かうとは。だが、私の力を見せてやる。」

### 戦いの始まり

妖怪は不気味な声を上げると、周囲の木々が揺れ、暗雲が立ち込めた。大井夫人は冷静に剣を抜き、妖怪に対峙した。

**大井夫人**：「私の力を見せてみなさい！この甲斐の地を守るために！」

激しい戦いが始まった。妖怪の力に押される場面もあったが、大井夫人は持ち前の強さで立ち向かう。彼女の心には、家族と村人たちを守る思いが燃えていた。

### 勝利の瞬間

戦いは長引き、大井夫人の体力が限界に近づく。しかし、最後の力を振り絞り、彼女は一閃の剣を妖怪に振り下ろした。

**大井夫人**：「これが私の覚悟だ！」

妖怪は悲鳴を上げ、光と共に消え去った。静寂が訪れ、彼女はその場に立ち尽くした。

### 新たな平和

翌朝、村人たちは大井夫人の勇敢な行動を称えた。志羅呼の妖怪は再び現れないと言われ、村に平和が戻った。

**大井夫人**（微笑みながら）：「これからも甲斐の地を守り続ける。信虎のため、信玄のため、そして村人たちのために。」

大井夫人は信虎との思い出を胸に、さらなる日々に向けて歩み始めた。

　山梨県大月市猿橋町猿橋に所在し桂川を架橋する猿橋には、志羅呼（しらこ）という百済からの渡来人が建造したとする伝承がある。猿橋に関する文献史料は中世から存在し、現在の猿橋が『日本書紀』に登場する兜岩の猿橋と同一とは限らないが、路子工の出身地が同一であること、架橋の時期が推古天皇の代と路子工の活動期と重なることから、同一人物の可能性がある。志羅呼は猿に橋の作り方を教えてもらい、自害する。

　### 大永年間の抗争と信虎の戦略

大永4年、甲斐の国は戦乱の影に包まれていた。武田信虎は両上杉との同盟を深め、伊勢氏（後の北条氏）との対立を強化することで、甲斐の安定を図ろうとしていた。

### 猿橋の軍集結

2月、信虎は都留郡猿橋に軍勢を集結させた。彼は両上杉氏を支援するため、戦略的に重要な位置に兵を配置し、相模国奥三保へと侵攻する計画を立てた。

**信虎**（自らに言い聞かせるように）：「この戦は甲斐の未来を決定づける。両上杉と共に、我が国を守らねばならぬ。」

### 秩父出兵と憲房との対面

続く3月、信虎は武蔵国秩父に出兵し、関東管領の上杉憲房と対面した。憲房は家督相続を巡る混乱の中にあったが、信虎は彼との連携を強化し、北条勢力に対抗する意志を示した。

**憲房**（柴俊夫）：「私たちが団結すれば、北条氏も恐れることだろう。共にこの乱世を乗り越えよう。」

### 戦の影

しかし、憲房が3月25日に死去し、家督相続を巡る混乱が信虎に新たな難題をもたらした。周囲の勢力が動き出し、戦局は不安定さを増していった。

**信虎**（考え込む）：「憲房の死は痛手だが、我々にはまだ道がある。新たな同盟を模索せねば。」

### 武蔵岩付城の攻撃

7月20日、信虎は北条方の武蔵岩付城を攻撃する決断を下した。太田資高（小野武彦）が守る城は重要な拠点であり、これを制圧することで信虎は北条の勢力を大きく削ぐことができると考えた。

**信虎**（戦の準備をしながら）：「我が軍はこの城を落とす。これが我が国の安寧に繋がるのだ。袴田課長を倒さなくちゃ！」

### 戦闘の激化

信虎の軍勢は岩付城へ迫り、激しい戦闘が繰り広げられた。矢が飛び交い、剣が交わる中、信虎は自ら前線に立ち、兵士たちを鼓舞した。

**信虎**：「この地を我がものにせよ！甲斐の名のもとに、勝利を掴み取るのだ！」

### 勝利と新たな展望

激闘の末、信虎は岩付城を攻略し、北条方に対して大きな勝利を収めた。これにより、甲斐の地位は確固たるものとなり、彼の名声も高まった。

**信虎**（勝利の余韻に浸りながら）：「この勝利は一時のものに過ぎぬ。新たな敵が現れるだろうが、我が甲斐は決して揺るがない。」

### 未来への道

戦乱の中での信虎の奮闘は、甲斐の未来を切り開くための礎となった。彼の戦略と勇気は、これからの抗争においても重要な役割を果たしていくことになるだろう。彼は新たな同盟を求め、さらなる戦の準備を進めるのだった。