第41話 男女3人 二度目の全員集合 前半

 木曜日の朝9時30分。明日まで公休日と有給取得済の中田信子嬢が××院にいる二人の男女を迎えに来た。こちらは明日の夕方まで休みをもらっている。

 とにかく、明日の夕方頃までに戻って来いと言われている。いったん自宅に戻ってもいいのだが、思うところあって二人とも児島市内で過ごすことになった。


「このあたりを定くんと陽子ちゃんが二人でいちゃ不味いよ。ちょっと足を延ばして渋川まで行かない? 二人とも水着は持ってきているでしょ。あっちならよつ葉園の関係者は誰もいないから」

 3人はそのまま車に乗って幾分東にある玉野市渋川の海水浴場に赴いた。3人は水着に着替えて海水浴を楽しんだ。特に知人に会うこともなかった。とはいえさすがにイチャイチャしながら着替えるわけにはいくまい。ここは公共の場なのだ。


 昼過ぎまで海辺ではしゃいだ男女3人、空腹を感じ始めたのを機にシャワーを浴びてもと来た道を戻る。30分もあれば着く。

「食べるもの、何か買って帰ろ。あ、約1名、もう何かしたくてうずうずしている人がいるみたいね」

「誰それ? 陽子さん?」

 後部座席の青年が助手席の女性に声をかける。

「私じゃなくってよ。さ、だ、く、ん」

「じゃあ、ノブちゃん?」

「自分のこと言わないの。あの子らが児島駅に戻ってこない間にうちに戻ろ。その前にうなぎ、買っていくよ。今日から1日、しっかり頑張ってもらわなきゃ困る人がいるから。ねぇ~」

 青年の顔がいささかならず赤くなる。

「ノブちゃんにやったみたいに、ヨーコにもやってもらわないと」

「そうそう。ヨーコちゃんにやったみたいに、ノブにもやってよ」

「何をやれっていうンだよ。ま、わかっちゃいるけど。テメエら覚悟しとけよ!」

 いつもの仕事の場とは違う荒っぽい表現で、彼は女性たちに言い返した。普段そういう言葉を使わない人物が言うと、なぜか刺激的に聞こえるもの。

「あ、おっきく出たなぁ~。おっきいのはあれだけかと思っとったけど」

 同級生の言葉に、彼を男にした2歳下の女性がさらに反応。

「最初の頃よりあれ、固い上に一回り大きくなったよ、コイツ」

 信子嬢は近くの店で買い物をして、自宅へと向かう。よつ葉園関係者や自分のことを知る会社関係者には見つからないよう細心の注意を払っている。幸い、この日は関係者には誰にも見られていない(はずだ)。


 信子嬢の一人で住む仕舞屋に到着した。かつて商売をしていた部分は現在駐車場になっている。開けた窓に網戸をあてがい、自分たちがいる場所はすべてカーテンを閉め、自宅の鍵も全て閉めた。今日は郵便物も来ていない。これで憧れの同級生とその女友達と一緒にいることがばれることはなかろう。公休と有給なので、会社から緊急の電話が来ることもない。来ても、居留守を使えばよい。

 昼食のうなぎを食べ終え、居間にいる陽子嬢と内山青年の二人と自らに麦茶をあてがいつつ、3人でおしゃべり。

「ノブちゃん、定くんなんかのどこがいいのよ?」

「そういうヨーコちゃんこそ、彼のどこが気に入ったの?」

 女同士が、彼を好きになった理由を述べあう。


 ヨーコは、実家の喫茶店に来た彼に奉仕活動のことを2年前に聞かれて、それで出合ったンよ。別の店で彼と会ったとき、スポーツ新聞のエロ小説を読んでいるの見つけて、人に聞こえないように秘かに、内山さん童貞? って聞いた。

 私、その頃には処女なんてとっくに喪失していた。なんかいい男っぽいし、この際と思って定くんを誘って、ある場所で結ばれちゃった。この人、最初にしては上手だったな。しかも優しくて、ホント、気持ちよかった。体の相性も良いみたいだし、それから時々会うたびに一緒になって今日に至るってこと。

 でも別に、定くんと結婚する気はないよ。私自身、したいこと他にもいろいろあるし、お嫁さんになって相手の家にへえこら従うなんて金輪際ごめんだから。今のような関係でずっと続けていけばいいかな。その割には、3日前にノブちゃんと定くんが結ばれたあの場所を見て触って、ワタシ、ヤキモチ焼けてきたみたい。

 この女に奪われてたまるかって気持ちが・・・。


 焼きもちを焼かれたら焼き返せとばかり、今度は信子嬢が彼との関係性を話す。


 私は定くんとは中学校で知合って、別にお付合いもしたことないけど、話はよくしていたっけ。この子エロ話が好きだったけど、でも実践なんかしてない。でもあの頃から文学の素養はあったわ。でも、小説家になって変な人生送って欲しくないな。陽子ちゃんに出会って童貞喪失って、なんか彼らしい気がした。定くんがよつ葉園の奉仕活動で毎年夏に来ていることは知っていた。タイミングが合わなかったこともあって今まで会えなかったけど、今回は、彼に絶対会ってやろうと思っていた。彼が乗る列車の乗務にあたっていることがわかって、もう天にも昇る心地。だから絶対、彼が来たら何とか話したいと思っていたところに、飛んで火にいる夏の虫じゃなくていい男ってこと。そこにかわいい女の子もいて、それが陽子ちゃん。実は去年も乗務中に会っていたよ。気付いてなかったでしょうけど。

 だけど、陽子ちゃんと定くんがそういう関係になっていたと聞いて、どんな若くていい女を大学で見つけたか知らないけど、絶対奪い返してやるって、そんな気持ちで定くんを誘ったの。陽子ちゃんと引き離すよりは、どうせなら一緒の方がいいと思ったのはもちろん、確実に定くんを私のもとに呼ぶためね。

 定くん、陽子ちゃんと信子のどっちが、相性いい?


「どっちも悪くない。ノブちゃんも陽子ちゃんも、めちゃくちゃいいンだ」

 青年の玉虫色の、しかし本音からの弁に、陽子嬢が少し寂しげに言う。

「二人ともお嫁さんにできたら、いいのにね」

「別に陽子ちゃんとは駄目だと言ってないよ」

「でも、ノブちゃんの方がヨーコより好きなんでしょ。最初に定くんがノブちゃんと抱き合った時、二人ともとっても嬉しそうで、私なんか出る幕ないのかなって、なんか悔しくて、ヨーコが絶対取り返してやるって、あの日は・・・」

「うん。確かに激しかったもんな。ぼくのぜいたくだけど、行けるところまで二人とも離したくない。陽子ちゃんもノブちゃんも。どっちも大好きなンだよ」


 麦茶を飲み干して、信子嬢が突如言った。

「陽子ちゃん、今日もコイツの争奪戦ね!」

 陽子嬢も、それに返す。

「年増のノブちゃんなんかに負けないわよ!」

「うるさい、エロ小娘なんかに負けないよ!」

 信子嬢が風呂とその後の準備を始めた。陽子嬢と内山青年も積極的に手伝う。この後、明日までの準備は整った。

「さ、ここで脱いじゃお!」

 3人とも、30秒としない間に生まれたままの姿に戻った。

「みんなで入ろ! まずはサダくんから!」

 最年少の陽子嬢が明るく声をかけた。まず内山青年が湯船に入れられた。その上に二つの女体が彼の足に絡みつくように続いた。二人の手は一人の急所を、二本の手は二体の胸の突起物周辺を押えた。

 この後3人は、夜に至るまで3日ぶりの快楽をむさぼり合った。彼はすでにこの2体の土地勘をその特徴まで完全に獲得した。信子嬢の用意したゴム製品のいくつかが続々とその役目を終える。少し体型の違う異物持ちを中心に据え、2体の程よく豊かな胸を持つ女らが寄添って夜を明かした。

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