第39話 男女3人、初めての全員集合
1日目の日程は無事終った。子どもたちと保母2人を水辺に送り出し、2人はテント付近での監督業務に。第三者はともかく関係者の誰が見ても交際中とは思えない。
この日の海水浴の間、彼らは特に自分たちの交際に関わる話はしなかった。初日の少し短めの海水浴を終えたら、今度はお寺のお手伝い。内山青年は去年同様、いやそれ以上にその手伝いを難なくこなした。陽子嬢もそれを手伝う。誰が見てもこの二人が特別に付合っているという関係とは思えないほどの距離感。今回は少年たちばかりなので、特別に内山青年を本堂に招く必要はない。
その日は彼も、少年たちの宿泊する離れで寝泊まりした。陽子嬢も含め女性陣は無論別の部屋で寝ることになった。今回は内山青年がいてくれるので、特に子どもらの見回りをする必要もない。
そして翌朝。第1班のときのように朝起きるとまずは本堂でお経を読み、それから掃除。第2班のときはそれどころでなかったので、この1週間近くの埃がたまっている。それを子どもたちと大人4人で丁寧に拭き取る。この日もまた、先週そして昨日同様、自由食堂から浅野青年が来てくれている。
朝食を終えて少しばかり休んだ後、子どもたちは少し早めに下津井の遠足へと出発する。今回は浅野青年が保母2人と十数人の子どもらを引率してくれる。第4班も同じような形で行われるので、この間内山青年と陽子嬢は昼過ぎまで自由時間となる。中田車掌はそのことを会社より聞いていたので、2人を誘ったのである。
子どもたちが出て程なく、中田信子嬢が父親のクルマを借りてやって来た。彼女は現在この軽便鉄道に勤めているので、実家のある倉敷市から離れて児島市内にある母の実家に一人で住んでいる。
「私の自宅に行きましょう。人目を気にせずお話できますから」
彼女の家には自家風呂も冷蔵庫もある。うちに来てもらえばいろいろ話せるからという意味合いも込めて彼らを誘ったのだ。車で数分先の児島の市街地にある彼女の家に到着した。
「特に何か買い物しなくても大丈夫。飲み物も食べ物もあるから」
そう言って、彼女は男女2人を自宅に招き入れた。ここで刺激的な何かを経験することになるは夢にも思っていないが、誘った信子嬢だけは、少し違う思いを二人に、特に男性の方に持っていた。それが証拠に、彼女は普段自分で買うことのないゴム製の製品を数箱買込んでいたのである。
「今日こそは、彼を!」
同級生の彼への思いを胸に秘め、信子嬢は二人を誘ったのである。彼女は居間に招いた二人に冷えた麦茶を振舞う。無論それに何かの異物が入っているわけではない。まだ10時に至っていない。あと5時間弱はここで3人で過ごせる。
話は、陽子嬢と内山青年の関係から始まった。陽子嬢は彼と出会ってから最初に結ばれるまでの経緯をあけっぴろげに語った。そればかりではない。彼の普段の性癖というべきところまでかいつまんで話した。さすがにその詳細をここで紹介するのは控えた方がよかろう。彼女の話では、彼との肉体的相性は良いらしい。彼女より2歳上の青年は、中学時代のあこがれだった同級生女子の前でこの数年来の自分の秘密をこれでもかとばかりバラされ、顔を赤らめている。
一方の中田信子嬢、中学時代ひそかに思いを寄せていた青年への思いが蘇ってきたのか、何とも言えない心地が胸の奥に潜んでいることを再発見した。彼女もまた中学時代の彼のことを話す。陽子嬢はそれを興味深々と聞き耳を立てる。
「ふ~ん、サダ君ってそんな趣味あるんだぁ~。でも陽子さん、あなたそんなことまで話すってことは、サダ君が必ずしも本命ってわけでも・・・」
彼女はそこに何かの突破口を見つけたようである。いつもは買わないあの製品を使う時が、今到来したと確信した。
ここまで黙っていた大学院生が、何かにたまりかねて信子嬢に頼んだ。
「暑くてたまらないや。信子さん、お風呂貸してくれる?」
少しの間、家中に沈黙が走った。これは千載一遇のチャンス。うまくいけば1時間もせぬ間にあこがれの彼と結ばれる。それも、実質彼女である女の目の前で。
「いいよ! でも、どうせなら、みんな一緒に入らん!?」
彼女は一世一代の賭けに出た。最初に彼をいただくには、絶好のチャンス。
「わ、ワタシも?」
予想外な提案に2歳年下の女性は驚いている。信子嬢が追討ちをかけた。
「陽子さんも一緒に入ろ。何度も彼と一緒になったンでしょ」
少しためらいをみせた陽子嬢、程なく満面の笑みで同意した。男性と一緒に風呂に入ることは交際上あるが、女2人と男性1人は初めて。彼と同学年とはいえ幼馴染の彼女が目の前で彼に抱かれる姿。仲の良い年上の男性という認識が、普通なら嫌と思うところだが、彼とのこれまでの関係性が微妙なところで影響して、是非この目で見てみたい気持ちが胸中にむくむくと盛り上がっている。逆に、目の前の女に自分たちの行為を見せつけてやりたいという感情さえも沸いてきた。
「ちょっと待ってて」
彼女はガスを焚いて風呂を温める。シャワーもある。これで温水も出る。この家の生活費は母親の実家なので、母方の財産から維持費として支出されていて、彼女の負担はさしあたりない。程なく適温のお湯が整った。
「お風呂に着替えを置くと場所をとるから、ここで脱いでいこっ。どうせ他の人も来ないし外からも見えんし、恥ずかしいことなんかないでしょ」
信子嬢の提案に、陽子嬢と内山青年は少し顔を赤らめる。
「何恥ずかしそうにしてんの。いつもお互い裸を見せ合っているんでしょ。おとといの土曜日にも。サダ君の身体、早く見たいなぁ」
「私も見たい。ね。さ、だ、く、ん」
彼をこのように呼んだことのない陽子嬢までがあおる。
彼は自ら身ぐるみをはいだ。目の前の女の4つの眼差しが彼の身体に一斉に向けられる。恥ずかしいが少しの辛抱。それを超えれば、相手も同じように裸になる。片方は見慣れているが、片方は実質的に始めて見る肉体。そちらの神秘にはまだ触れられていない。神秘を隠した2体の肉体の前に、自らはそのあられもないながらも元気な姿をさらしている。かくも体は正直である。2体とも自らの身体と一体にしてしまえるときが、刻々と近づいている。
服を脱ぎながら、陽子嬢が一言。彼の目は、二人の下着へと向く。
「彼、私の下着をいつも脱がしてくるンよ。信子さん、ここは彼に脱がさせてあげなきゃ。いつも乙女の肉体を弄ぶこのオオカミさんに!」
「じゃあ、いつも陽子ちゃんにやってあげてるようにやってあげて。それから、ノブもやってもらおうかなぁ、陽子ちゃんとおんなじように」
彼は手慣れた手つきで順に二人の上下の下着を剥いだ。胸当ての留金を外し、その勢いで下の布をさらに下へと追いやる。そのたびに彼は相手の唇を軽く奪った。これで男女平等。生まれたままの姿になった3人は、タオルを持ってともに風呂場へと向かった。この後この青年は、いつもの女体と実質初めての女体の、言うなら二本の串刺しという御馳走に預かった。
わずか2時間ほどの間に、一人の男によって3袋のゴム商品が消費された。
「今度の木曜日もお休みよね。今日と同じ日程で、3人でまたやろうよ」
この家の主である女性の提案に、二人の大学生は二つ返事で同意した。
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