2週目以降の予定
番外 予告;第3班、第4班そして第5班の日程
土曜日の昼に第2班が帰ってきて、一夜明けた7月27日・日曜日。
朝9時には第3班に加わった小学校の少年たちが集まってきた。今日は第3班の出発式があることもあって森川園長はこの日も出勤している。今回はこの班に加えられた少年たちの部屋を担当している保母2名の他、窓ガラスのマスター夫妻の娘である本田陽子嬢と大学院1回生の内山定義青年がこの少年たちに付合う。
第3班と第4班は、基本的に小学生中心。第3班は男子、第4班は女子で構成されている。第1班は男女混成であったが、こちらは確実に性別で分かれている。
第1班とほぼ同様に、第3班はこの日から3泊4日の日程で組まれている。2日目の下津井への遠足は第1班と同じく釣りとタコ料理の店での食事。3日目は終日塩生で海水浴、4日目は午前中の朝飲み海水浴をして合流した第4班と昼食をとってからバスと電車と宇野線の列車を乗り継いで岡山に戻る。
その第3班が岡山に戻る日、小学生女子中心の十数人と彼女ら担当の保母らによる第4班は第3班と同じ日程で岡山から児島に移動する。第2班は幼児が中心の班のためタクシーを利用したが、どちらも小学生の団体なのでそこまでする必要はない。こちらの第4班は、2日目は児島競艇場のボートレースを同じように見学することになっている。特に釣りをする女子児童はいないことと、競艇関係者からの招待に応える必要があるためである。そのあとは、下津井に移動してタコ料理の店で昼食をとって昼過ぎに帰ってきて、少しばかり海水浴に行く。3日目は終日、4日目の土曜は午前中海水浴で午後は第3班や第1班と同じ予定で岡山に戻る。
本田陽子嬢と内山定義青年は、第3班から第4班が児島にいる間、通しで児童らの面倒を見ることになっており、帰りは第4班を引率して岡山に戻る。
この他水曜の第3班と第4班の行き来については、先週同様唐橋児童指導員とその妻の成瀬初奈車掌が担当する。唐橋指導員は第3班と第4班の引継業務も兼ねている。この日も、成瀬車掌こと唐橋夫人は電鉄から派遣される添乗員としての業務を負うことになっている。昨秋に続き出勤扱になるとはいえ、実態は慈善事業のような位置取りの業務である。無論、唐橋指導員と交際していることや、まして結婚した事実などがよつ葉園関係者に漏れるようなことはあってはならない。とはいえここはどちらの班とも小学生の子らばかりなので、そこまで心配いらない。
翌週の8月4日・月曜に岡山を出発する第5班は、残りの男子中学生と女子中学生、それに高校に通っている男子2名の合計15名で構成されている。こちらは小学生以下の子らは入れていない。第1班と第2班に加わった男女児童以外の子らで構成されている。これには、中学生女子の担当をする保母と男子児童を担当する唐橋児童指導員が引率することとなっている。
第2週の最初はおおむねこの通りの日程で実施されることとなっていたが、いろいろな事情があって変更を余儀なくされたこともあれば、すでにこの時点で変更を検討せざるを得ないことも発生していた。
この海水浴の全事業が終るのは、立秋前の8月7日・木曜日の夕方である。
そこから先、よつ葉園は夏季休暇や児童の帰省なども待っている。
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史実より
この年の8月6日(水)、広島市民球場では広島対巨人のダブルヘッダーでの公式戦が実施されました。この2試合、とりわけ第1試合は、日本のプロ野球史上において重大なエポックである要素が2つあります。
まず一つは、この年を境に8月6日の広島市内での公式戦はこの後半世紀以上にわたって開催されませんでした。それは広島市が条例でこの日を市役所の休業日としたため。平和祈念式典の開催による交通事情への配慮もありました。
8月6日の公式戦は結局この後広島市民球場では開催されないままとなり、現在の新スタジアムで2011年に開催されるまでこの日の広島での公式戦は行われないままとなっておりました。ちなみに8月6日がカープのホームゲームが絡む場合は、福山や尾道、あるいは岡山県営球場などで行われていました。対阪神のこの日のホームゲームですが、著者である私自身、1986年と1989年に岡山県営球場で観戦しています。
もう一つ、これは野球の範囲内の話になりますが、この日、対戦相手の東京読売巨人軍でその後十数年にわたり主軸打者として活躍する長嶋茂雄選手が、17時開始の第1試合で初めてスターティングメンバーで4番に座りました。
偶然とはいえ原爆投下13年後のこの日に、選りによってその後の職業野球(あえてそう表現します)の象徴となる光景が最初に現れたのがこの日でした。それまで長嶋選手は開幕より3番や5番に入る日が多く、開幕時は前年までの4番打者であった川上哲治氏が務め、その後は川上氏の他ハワイ出身の日系2世である与那嶺要氏も務めましたが、この日ついに、この年のゴールデンルーキーにして戦後初の三冠王を狙うほどに活躍する長嶋茂雄選手が4番打者として名を連ねたのです。
その試合、長嶋選手は約1カ月ぶりに本塁打を放っています。4回表一死一塁、カウント1ストライクからの2球目、広島先発中本富士雄投手から飛距離推定100メートルの先制の2点本塁打を右翼席に打ち、勝ちに貢献しています。
翌年6月25日のいわゆる天覧試合で阪神の村山実投手からサヨナラ本塁打を打っていますが、それに勝るとも劣らぬ、いかにも「長嶋茂雄」という活躍であると、私自身は思っておるところであります。
本作品では、その日のことも児島の××院(モデルにしているのは、当時の児島市通生に今も存在する「般若院」という真言宗御室派の寺院です)内外のその時間前後の様子を、登場人物に絡めて書いていきます。
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おことわり
今話につきましては、予告編を兼ねて定期更新とは別枠で早期公開します。
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