第4話 文化祭
夏休みも明け、新学期が始まった。
近江学園は9月に文化祭がある。
私はその文化祭がとても楽しみだ。
なぜなら、近江学園の文化祭にはミスコンが毎年行われており、そのミスコンに颯がでるからだ。
そんなふうに気持ちが昂っていた一方、
文化祭の準備で颯と一緒になることはないと考えると気持ちが落ち込む。
気持ちが落ち込みながらも文化祭の準備を着々と進めた。
「ゆあ〜」
急に名前が呼ばれたように感じて後ろを振り向いた。
同じクラスの蓮武に呼ばれてた。
蓮武は優しくて頼り甲斐のある友達だ。
顔はまあまあだが身長が低いせいでモテない。
「何〜?」
と返事をした。
「文化祭誰かと回る?」
私は今のところ誰かと回る予定もなかったため
「今のところ誰とも回る予定ないよ〜」
と答えた。
「よければ俺と一緒に回らない?」
そう言われると私はその後の返事に困ってしまった。
確かに誰とも回る予定はないけど蓮武と2人で回ることはしたくなかった。
なぜなら、颯とすれ違った時などに勘違いされたくないからだ。
(まあ、どうせ颯の視界に私は映ってないと思うけど)
しばらく考えて私は蓮武に断りを入れた。
文化祭当日。
午前中に合唱コンクールが行われた。
午後にはミスコンが行われる。
このミスコンにはイケメンの颯もでる。
(絶対見にいきたい!)
私は親友の遙香と一緒にミスコンの時間まで遊び尽くした。
午後15時。
ミスコン開始時刻だ。
颯はエントリーナンバー5番で出場した。
(やっぱりイケメンだな〜)
颯のイケメンさに目を奪われてしまった。
「次だね、颯の番!」
遙香とそう話していると、
「エントリーナンバー5番、1年、如月颯」
颯が呼ばれた。
「うわーイケメンだな!」
スポットライトに照らされてる颯は星の王子様みたいだ。
颯は得意のバスケのドリブルを披露し、観客の声援をあつめた。
ミスコン出場者全員の発表が終わり結果発表に移った。
「第55回、ミスターコンテストグランプリは…」
心の鼓動がドクンドクンとなっていた。
「エントリーナンバー5番、如月颯」
私は座っていた椅子から飛び跳ねるように立ち上がった。
「遙香、颯がグランプリをとったよ!さすがだわ颯!」
「だね!」
私は自分ごとのように嬉しかった。
文化祭は終わり、片付け準備をしていた。
体は疲れいっていたため、いつもより体が劣っていた。
「は〜疲れた〜」
そんな疲れた体を元気にさせてくれたのは颯の声だった。
教室の奥の廊下から
「文化祭お疲れ様でした。」
颯の声が聞こえた。
多分だが先輩に挨拶をしている声だろう。
私は颯の声が聞けただけで文化祭でたまった疲れも一瞬で吹っ飛んだ。
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