第82話
「あ、えと、こちらこそ宜しくお願いします。あの、ひー君って…?」
翡翠様の事なんだろうな、とは予想がつくけれど、愛称で呼ぶ二人の関係性がただの婚約者同士ってなだけではない気がして、それを確認する意味でも遠回しに聞いてしまった。
「あ、ごめんなさいっ副住職の事です!私、彼とは幼馴染なんです!」
そう笑顔で答えてくれた彼女に、またしても大ダメージをくらってしまった。
…幼馴染、で、しかも婚約者…。
何コレ。
私、入れる隙間、なくない?
つい、乾いた笑みが漏れてしまった。
「あ、そ、そーなんですね。昔から、仲がよろしかったんですか?」
本当は聞きたくもないのに、ついショックな自分を繕おうとして、余計な質問までしてしまった。
本当、私ってバカだ。もう帰りたい。
情けなく眉尻を下げつつ彼女を見ると、彼女はふふっと笑を堪えるようにして、小さく口元を押さえた。
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