第77話
彼に愛される楓さんが、物凄く羨ましいと思う。
こんなに、こんなに好きなのに。
想いが通じないのは、物凄く苦しい。
けど、彼を好きでいるのを止められない私は、やっぱり諦めたくないと思ってしまう。
仏教の教えは、全て縁で説くと翡翠様は言っていた。
だったら、私と翡翠様の出会いも、やっぱり縁だと思うんだ。
ふと見上げる顔を下ろした翡翠様が、こちらを見た。
それだけで、やっぱり九条課長の時とは比べ物にならない程のドキドキが増す。
私を見て、ふわりと微笑んでくれる翡翠様に、胸がキューッとなる。
嬉しさで抱きつきたくもあったけれど、流石にそれは出来ないので、恥ずかしさを隠すようにいつものように翡翠様に駆け寄って頭を下げた。
「翡翠様っ!!ご相談がありますっ!!」
そう言って近付いた私に、翡翠様は一瞬目を見開いたけれど、すぐにふと小さく笑って
「なんでしょう?」
と返してくれた。
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