第76話
***
今日は一日中、なんだか九条課長の事を気にし過ぎて、物凄く疲れてしまった。
多分どこかで必死に、“他の人と私の扱いは同じ”だと思いたくて、見てしまっていたように思う。
けどユキが言ってた通り、なんとなく九条課長は、私と接する時と他の女性社員と接する時とでは、雰囲気が違うように思えた。
何が?と問われれば答えようがないのだけれど、女の勘ってやつだろうか。
なので今日一日は、九条課長を避けるような行動が多かったような気がする。俗に言う“ごめん避け”ってやつだ。
勘違いだったら恐ろしく恥ずかしいけれど、勘違いであって欲しいと思ってる。
ふぅ、と溜息を吐きながらお寺の石段を登り切ると、本堂近くのケヤキの樹を見上げている翡翠様が視界に入る。
夕日をバックに樹木を眺める翡翠様は、とても儚く、そして切な気に見えた。
…ああ──。
やっぱり私は、翡翠様が好き。
勿論最初は、凄いイケメンなお坊様だなぁなんて思って、ミーハーな感じで憧れてはいたけれど、話せば話すほど翡翠様が好きになっていった。
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