8.知られざる過去

第74話

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「お、おはようございます。」


「…?ああ、おはよう。」



昨日、ユキがあんな事言ったから、変に意識してしまって困る。


挨拶もどこかぎこちなく、九条課長と今までどう接していたのかわからなくなってしまった。


変にドキドキと緊張しながら席に座ると、九条課長が近付いてきた。



「桜木、」


「は、はいっ!」


「…なんだお前、今日どうした?」



あああああーっもう!全部ユキのせいだ!!

バカみたいに、一人意識してるのが恥ずかし過ぎる。


九条課長の顔がまともに見れない。



「あ、いえ。お気になさらず。」


「?…まぁいい。例の企画、通ったぞ。来月から本格的に始動するから、体調管理はしっかりしてくれよ。」


「ほ、本当ですかっ!!ありがとうございます!!体調管理気を付けますっ!」



ついに企画が通ったんだ!!

九条課長の事、意識してる場合じゃなかった!!


総合的に見て、時間もコストもかかる企画だから、本気で体調には気を付けなきゃいけない。


ふんっ!!と両手に力を込めてガッツポーズをした私の頭を、九条課長がふと笑ってポンと撫でた。

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