第73話

……後、二回。


自分の中だけで決めた取り決めだけど、後二回しか告白出来ないと思うと、急に寂しくなった。


翡翠様が本当に結婚しちゃうまでは、何回でもアタック出来るんだろうけど、それは婚約者である彼女にもきっと迷惑だ。


それに、さすがに自分でもここまで拒否られてるのに、しつこくするのはそろそろ止めなきゃなぁとは思っている。



「…うん。後二回で、諦めようとは思ってる。」



少ししょんぼりと俯く私を見て、ユキが笑った。



「小春ってある意味凄いよねぇ。私だったら、後二回も同じ人に告白なんてメンタル的に無理だわ。一回振られただけでもへこみまくるのに、それを何度もって。」


「…どうせ私は恋愛バカだよ。」


「ふふ。そうね、バカだと思うわ。けど、私そういうアンタ好きよ?そうやってこの歳で恋愛に全力を注げるのって、羨ましいなって思える。後二回もアンタらしく、全力でぶつかってきなよ。その後は飲みでも何でも付き合ってあげるから。」



そう言って笑うユキに、「振られる前提なのが引っかかるけど。」と言いつつも、私も笑って頷いた。

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