第61話

そんな必死な形相の私を見て、玉瑛君が申し訳なさそうに呟いた。



「いらっしゃる事は、いらっしゃいますが……」



なんだろうか、この歯切れの悪い感じは。


玉瑛君の次の言葉を待っていた私の肩を、誰かがポンと叩いた。



「小春ちゃーん、玉瑛をあまりいじめないでやってくれよ。」



え!?と後ろを振り向くと、秋明さんがニッと笑って私の肩に手を置いているところだった。



「秋明さん!!」


「ほれ、副住職ならあそこだ。」



そう言って庫裏の端の方を指した秋明さんを、玉瑛君が慌てて私の視界を遮るように前に出て非難した。



「秋明さん!小春さんには…」


「玉瑛、副住職は小春ちゃんを明らかに避けとる。小春ちゃんも自分の目で確かめた方がいいだろう?」



そう言って私を見た秋明さんの言葉に、



あー…、やっぱり私、避けられてるんだ。



と、ショックを受けつつ、玉瑛君の後ろに視線を向ける。

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