第58話
「ほ、本当ですかっ!?」
「ああ。今週末の会議でほぼ決定が下ると思う。本格的に企画を始動するのは、来月からになるがな。」
眠気なんて一気に吹き飛び、俄然ヤル気が出て来た。
まさか、駄目元で出した企画が通るなんてっ!!
私が今までで一番、時間をかけて出した案だったから、本当に嬉しくて、隣を歩く九条課長に抱きつきたくなったけれども、なんとか押し留める。
いくら会社の中とはいえ、相手は上司。しかも、九条課長だ。そんな所をもし見られて勘違いでもされた日には、私は多分もう会社には来られない。…きっと女性社員の非難の嵐で。
想像して、ぶるっと身震いする私の頭を、九条課長がポンポンと撫でた。
「本当、今回はかなり頑張ったな。桜木のその、粘り強さはいいと思うぞ。」
整った顔で柔らかな笑みを浮かべると、途端に九条課長は幼く見える。
あー、コレは女子社員はイチコロだわ。
なんて思いながらも、やっぱり私には翡翠様が一番だけど、と心の中で付け加えた。
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