6.浮かれてばかりもいられません。
第56話
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あの日あのまま、呆然と翡翠様を見送った後に、またしても呆然としながら家まで帰った。
勿論寝付けるはずも無く。
目の下のドス黒いクマを携えて、会社まで出勤する。
────いや、うん。
普通ならば、『魔が差した』なんて、言われて嬉しい言葉ではないよね。
でも。
……今堪らなく嬉しいと、浮かれてる私はアホなのかもしれない。
浮かれ過ぎて、寝付けなかったし。
だって、だってだよ!?
あの翡翠様が魔が差したとはいえ、私にキスするなんて何も思うところがなければしないよね!?
それに、何度も告白を断られてきた私にとって、魔が差したなんて言葉は威力はない。
むしろ、プラスに受け取れてしまうのだから、恋愛って恐ろしい。いや、これは私に限ってか。
なんて、自分で自分にツッコミを入れていると、
「おはよう。」
と、九条課長が私の隣に肩を並べながら声をかけてきた。
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