第54話

「……逆に私は、あなたに少し興味がわきました。」



そう囁くように言うと、翡翠様は私の頭から手を離した。


……え?



今のは、本当に翡翠様の言葉…?


あまりにも予想外の言葉に、つい驚いた顔で見つめ返してしまった。



翡翠様は黙って穏やかに私を見つめるばかりで、何も言わない。


え、


え!?


これは、私が勘違いする方向で受け取ってもいい言葉って事なの!?


困惑しながら翡翠様を見つめていると、ふともう一度翡翠様が私の髪に手を伸ばした。


ドキドキとその手を、つい目で追ってしまう。



「髪に葉が…」



そう呟く翡翠様の唇を見つめてしまい、ドキドキと心臓が存在を主張する。


翡翠様との距離の近さに、つい無意識に呟いてしまった。





「………好き。」





呟いてしまってから、翡翠様の驚いた表情が視界に入って、しまった…!と、恥ずかしさに瞬時に顔が真っ赤に染まる。


それでも、翡翠様から目を逸らす事が出来なくて、見つめ続けていると、不意に翡翠様の顔が近付いた。

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