第38話

会社じゃ一応、仕事が出来るちょっとクールなキャリアウーマン(鬼係長とも言う)って思われてるのに、実はただのデレデレニヤニヤミーハー女(翡翠様限定だけど)ってバレるのは、さすがに格好がつかない。



それに何より、翡翠様には鬼係長なんてバレたくない。



そう思われているかは別として、あくまで翡翠様の前では恋愛に一途な可愛い女性でいたいのだ。まぁ、可愛いかは別としても、一途で恋愛バカなのは本当だし。

もちろん素の私はこっちだ。



まさか後輩の、しかも男をビシバシ指導しまくる怖い女なんて絶対に、絶対にバレたくない。



「へぇー。そのお坊さんってイケメン何スか?」


「さぁ?俺も会った事は無いが、出先でチラホラ相当なイケメンだと噂は聞いた事があるな。」



二人の会話に無言で頷きながら、取り敢えずここから出なければ、と二人を外に出るよう背中を押して催促してみる。


──と、



藤森が「あ。」と呟いたので、思わず後ろを振り返ってしまった。

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