第21話

え、待って待って。


それって、私欲丸出しで翡翠様を追いかけてる時点で


アウト、だよね?



呆然と固まる私に、ニッコリ微笑む翡翠様。



「いーーやーーっ!認めませんっ!!もっと違う好みでお願いしますーー!!」


「…何ですか、その好みの押し売りは。」



この場を去ろうとした翡翠様の袖を引っ張って、ブンブン首を振りまくる。


だって、だって!!

清廉が好みなんて、翡翠様大好きな私欲まみれな私は、努力しようが無いじゃないかっ!!


もうちょっとこう、形で表せられる好みにして欲しいーーっ!!


ギャアギャア喚く私の手から、袖を引き抜こうと翡翠様がグイッと引っ張り返す。



「好みは以上です。これしかありません。」



うーわーんっ!!

そんなそんなーーっ!!後三回の告白がぁぁぁっ!!



いまだに翡翠様の法衣の袖を、握ったまま項垂れて引きずられていると、翡翠様が立ち止まる。


え?と思って顔を上げようとすると、頭上からふと笑う気配を感じた。







「…好みはこれで以上ですが、私は、貴女といるのは嫌いでは無いですよ。」

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