第20話

秋明さんが行ってしまったので、急いで翡翠様に向き直る。



「翡翠様!ご質問があります!」


「何ですか?」


「翡翠様の好みの女性のタイプを教えて下さいっ!」


「……質問の意図が、」


「意図ならあります!それに翡翠様も、ただ私の告白を断るのでは、せ、誠意が見えません!」



負けない、負けるもんか、と私にしては少し強めに言ってみた。


益々嫌われるかもしれないけれど、好みを知って、自分なりに努力してみたいのだ。



すると、翡翠様がフッと何故か力無く笑った。



「貴女のその、粘り強さを、少しは分けて頂きたいですね。」



ゔっ……遠回しに諦め悪くてしつこいって言われてようが、あ、諦めないんだからっ


まだ、諦めるには、後三回自分の中で告白のチャンスが残ってる。


使い切るまでは、諦めないっ


私がじっと翡翠様を見つめていると、ふと瞳を細めて翡翠様が微笑む。



「…そうですね、私の好みは綺麗な人です。勿論、外見ではなく、清廉な人、という意味です。」




せ、せせせ、清廉!?

え、えーっと、意味は……


必死に頭の引き出しを開けて、意味を思い出す。


清廉………心が清らかで私欲が無い事…とかだった筈。

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