第11話
そんな彼のファンも多いのだけれど、私は断然翡翠様だ。
「はー…。玉瑛君。翡翠様って、どんな人が好みなのかな?何やっても相手にしてもらえないんだよね。」
項垂れる私を見て、玉瑛君が苦笑いを漏らした。
「そうですね…、副住職は誰にでもお優しいですからね。これといった違いが無いので、私には分かり兼ねますが…小春さんには、結構御心を開いてらっしゃるのではないでしょうか?」
玉瑛君のその言葉に、私は思わず食い付いた。
どんな些細な事でもいい。
翡翠様の『視界』に入りたいんだ。
「なんで!?なんでそう思ったの!?」
詰め寄る私に少し引き気味に、玉瑛君が笑って答えた。
「他の方と違って、副住職は小春さんには結構な毒舌だからですよ。それは、素を垣間見せているのでは?と思うのです。あくまで私の見解ですから、当てにはしないで下さいね?」
そう言って玉瑛君は頬を掻く。
…『素』、ねぇ……。
そう言われたら、私だって……そうだ。
翡翠様とは、真逆に取られる『素』だけれど。
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