第9話

それから私が翡翠様にした告白の回数は、軽く口走ったものや(それでもきちんと拒否される)、今日のように遠回しに伝えたのを数えるならば、……恐らく97回目。



自慢では無いけれど、今まで3人の人と付き合ってきて自分から告白したことは無い。


多分私は、恋愛に熱が入るのが遅いタイプで。


熱しにくく冷めにくい。

まさにこのタイプだと思っていたのに、人ってわからない。


まさか自分から、こんなにアタックしたくなる人に出会えるなんて、翡翠様こそまさに、




……運命の人だと思うのだ。





「人の好みと言うものを、ご存知ですか?」


「何度来られても返事は変わりません。」


「面白い衣装ですね。今からサーカスですか?」


「その化粧、まさか道化師に転職されたのですか?」


「耳もですが、鼻もですね。耳鼻科をお勧めします。」


「…硬い。これは、クッキーと言う名の石ですか?」



翡翠様は全て、あくまでも穏やかに、微笑みをたたえて告げる。


色々、色々あげればキリがないけれど、今まで様々な毒舌を持ってして、私のアプローチという名の努力は惨敗したのだった。


それでも、簡単に諦められる思いではないんだけど。

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