第86話
無事沙世ちゃんのプレゼントも買えたところで、文也がお昼までせっかくだから一緒に食べようと誘ってきた。
特に断る理由も無かったので、三人で飲食店街を歩いていると、七瀬が立ち止まって手で来い来いと、私を呼び寄せた。
「ここ、前、七美が雑誌で見てたところ。七美の好きなトマトの新作パスタもあるって。ここは?」
「あ!本当だ!七瀬よく覚えてたね?いいね、ここ。文也、ここはどう?」
私と七瀬の会話を黙って聞いていた文也は、会話に一瞬間を空けて、「…あ、うん。いいよ、七美が好きなとこで」と、また寂しそうに笑った。
また、変な切なさが込み上げて来たけれど、今度は気付かないフリをした。
七瀬が付いてきてくれてて、良かったかもしれない。
同情じゃないけれど、なんか声をかけて上げたくなる衝動にかられてしまう。
七瀬が心配してくれてたのは、こういう事なのかもしれない。何となく早足で一番最初にお店の中に入った。
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