第85話
しばらく店内を見て歩いて、文也が小首を傾げる。
「んー…。俺にはやっぱ、どれも同じに見えるんだけど、どれが一番良いと思う?」
テディベアの可愛いマグカップが沢山並ぶ前で、文也が立ち止まっていたので、すかさず私は指差した。
「「絶対、コレ!」」
え?と、隣を見ると、七瀬と見事にハモりながら同じ物を指差していた。
一瞬、七瀬がしまった、という表情をする。
つい、いつもの癖で、聞かれたので答えてしまったみたいだ。
けど、文也はその事よりも、私と同じ物を七瀬が指差した事が意外だったようで、そっちに驚いていた。
「気が合うんだな、七美達。」
そう言って、少し寂しそうに笑いながら、私達が選んだマグカップを持ってレジに向かった。
なんとなく、その表情が切なく映って胸がズキンと少し傷んだ。
その私の表情を見て、何か思う所があったのか、七瀬がポンと私の頭を軽く撫でてくれた。
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