第84話

七瀬の意図が分からなくて、混乱しながらも自分の心を落ち着かせる事に集中する。


あーもう!七瀬のバカっ!アホ!オタンコナス!


絶対からかってるんだ、コレは!!




目的の場所に着いたのか、文也が可愛い雑貨屋さんの前で立ち止まった。



「七美、好きだったよな、テディベア系。沙世も七美と同じ様なのが好きみたいでさ。この店、取り敢えず候補にしといたんだけど、どうかな?」



文也が少し恥ずかしそうにハニカム。


当然、可愛いテディベアの雑貨たちの前で、私の目はキラキラと釘付けになる。


もちろん、私の左隣の人も。


七瀬の方をチラッと見ると、ウズウズしてるのが見てとれた。ふふっ絶対七瀬、アレコレ物色したいんだろうな。けど、文也の手前、グッと我慢してる様子がうかがえて噴き出しそうになった。


肩を震わせ笑っている私に気付いたのか、七瀬がフニっと頬を摘んできた。



「何笑ってんのよっ」



小声で話しかけてくる七瀬に、さっきの手繋ぎの仕返しとばかりに、私はクスクス笑い続けた。

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