第83話

「うん。けど、もう小6だからか、最近スゲー生意気になってきた。」



沙世ちゃんが文也に文句言ってる姿を思い浮かべて、つい笑ってしまった。沙世ちゃん私には優しかったけど、文也には厳しかったもんなぁ。


クスクス笑っていると、左手をギュッと握られた。



…え?



思わず握られた手の方を見ると、フッと七瀬が妖美に微笑んだ。


え、え?何で!?


文也からは見えない位置なので、手を握られる理由がいまいち分からなくて、パチパチと瞬きを繰り返した。


…七瀬、どういうつもりなんだろ?


せっかく意識しないようになっていたのに、これは反則だ。


ドキドキが加速していく気がして、文也の方に顔を向ける。と、同時に手が一瞬離されたので、ホッとしていると、今度は恋人繋ぎの様に、七瀬が指を絡めてギュッと繋いできた。



ちょ、ちょっとっ!!!

七瀬、どういうつもり!?


頬がジワジワと赤くなり、耳まで染まっていくのが分かる。困惑しながらもう一度七瀬の方を見ると、七瀬は楽しそうに笑っていた。

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