第82話

「もちろん、信用はしてるよ?けど、折角の休日、俺も少しでも長く七美と一緒に居たいんでね。」



七瀬の言葉に思わず心臓が飛び跳ねる。


だ、ダメダメダメッ!!

これは演技!!聞き流せ!自分!!


ドキドキを悟られないように文也を見ると、諦めたように肩を竦めて、「行こっか」と私に声をかけた。








凄く、歩きにくいんですけど…。


私の両サイドに七瀬と文也が居て、二人とも妙に肩が触れそうなくらい近い。


目的地は駅ビルの中だから、すぐそこなんだけど何だか遠く感じる。



「買い物、付き合わせてゴメンな?やっぱアイツ七美が選んでくれたプレゼントの方がスゲー喜ぶんだよな。」



文也が私の方を見て優しく笑った。


文也の妹の沙世ちゃんは確かまだ小学生だ。

年の離れた妹を、文也は凄く可愛がっていて、その姿を昔はよく微笑ましく思ってた。



「沙世ちゃん元気?」



付き合ってた頃、文也も一人暮らしだったけど、よく文也の実家にも遊びに行っていたから、沙世ちゃんとも仲良しで、まだ一年しか経ってないけど懐かしく感じる。

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