第78話

七瀬と目が合っているのに、感情が全く読み取れない。


それぐらい、七瀬はなんとも言えない表情をしていた。



「…そう。なら、いいんだけど。」



声のトーンも淡々としていて、今、七瀬がどういう感情で言っているのか全く分からない。


…けど、一つだけ分かることがある。




七瀬は、私に恋愛感情は求めていないって事ーー。




ーー『なら、いいんだけど。』ーー



その言葉の棘が、やけに私の胸にグサリと刺さった。



「そうだよ!」と、明るく笑って胸に刺さった棘が、バレないように誤魔化す。


私、さっき自分で思ったじゃない?恋愛感情ではないって。


なのに、どうしてこんなに胸が苦しいんだろ…?



けど、今の七瀬の反応で、分かったことがもう一つ。


七瀬は、私が恋愛感情を抱いてしまったら、私から離れてしまうだろう、と、いうことーー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る