第77話

車に乗って七瀬が静かにエンジンをかける。


シートベルトをしながら、七瀬をチラッと見るとこちらを見ていた七瀬と思いっきり目が合った。



「七美。」



いつもより少し低い七瀬の声に、思わずビクッとしてしまう。



「な、何?」



変な緊張で、七瀬から直ぐに目を逸らして前を向いた。








「アンタ私の事、意識、してるでしょ?」







一瞬、時間が止まったかと思った。

バレちゃいけない事がバレた時みたいな、罪悪感に襲われる。


恥ずかしいとかそんな事以前に、七瀬に指摘された事によって私の顔は青ざめていく気がした。



「な、なんで?」


「今朝、私の事明らかに避けてたでしょ?それに加えてさっきから、一々私の行動に反応して赤くなる。違う?」



七瀬だけには、絶対にバレちゃいけないと本能的に思った。



「そ、んな訳、ないじゃん!勘違いだよ、七瀬!」



私の言葉に、まだ発進していない車のハンドルに寄りかかりながら七瀬が私の方を見た。

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