第75話

そろそろマズイかもしれないってくらい、トイレに篭ってしまった。


けど、どんな顔して出ればいいの!?


いい加減、嫌でも気付かされる。




私、七瀬の事、意識、してる…?




ゆっくりと、自分の気持ちに問いかけてみる。

意識は、してるのかもしれない。けど、まだ恋愛感情ではない。きっと、男バージョン七瀬を見てしまったから、『男の人』として意識してしまったんだ。


自問自答を繰り返していると、女子トイレの入り口から小声で七瀬が呼びかけてきた。



「ちょっと!七美!?まだなの!?」


「わわっ!ゴメンっ!!もう出るよ!」



流石に七瀬も女子トイレには入れないらしく、外からヤキモキした声が聞こえてきた。


つい勢いでトイレを出た私は、七瀬の普通の態度にちょっとホッとした。



「ちょっと、大丈夫なの?七美の分のデザート、テイクアウトしといたわよ?」


「あ、ゴメン!って、え!?もう会計済ませちゃったの??」


「アンタ、トイレに篭って何分経ったと思ってるのよ?さすがに、30分も篭られたら心配になるわ。」



えぇ!?私そんなにトイレにいたの!?

自分でビックリしながら、急いで財布を取り出そうとバックをあさっていると、七瀬に上から軽く手を押された。

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