第73話

「それ、私も行くわ。」



七瀬が水をグイッと飲んだコップを、ダンっとテーブルに置きながら言った。



「え、なんで?」


「プレゼント買うだけで終わるわけないじゃないっ!アンタを奪う宣言した男よ!?二人きりでデートなんてさせるもんですかっ!」



七瀬が眉間にシワを寄せて腕組みする。


あー、なんか、かなり怒ってらっしゃる…。

言わなきゃ良かったかな…なんて思っていると、



「アンタ言わなきゃ良かった、なんて思ってないでしょうね!?」



と、七瀬に的確に突っ込まれてブンブンと必死に首を横に振った。危ない危ない。七瀬は感が鋭いんだよね…。




その後、時間と待ち合わせ場所を伝えて、話題を変えようと思考を巡らせた時、ふと昼間の会話を思い出した。



「あ、ねぇ、七瀬。海外事業部に引き抜きの話が出てるって本当?」


「あー、アレね。なんで七美が知って…って、美魔女軍団ね。情報源は。」



七瀬がフッと笑いながら、食後のデザートのティラミスをスプーンですくった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る