第72話

「うん、特には何もないよ。明後日の日曜日、文也の妹の誕生日プレゼント買いに付き合うくらいかな?」



そう私が小首を傾げて言うと、はぁぁーっと、七瀬が大きな溜息を吐きながら、頭をガクンと下げた。



「何もないどころか大有りじゃない!昨日の今日で、もう約束取り付けるってどんだけ行動が早いのよ、二階堂君。」



呆れながら目を細めて私を睨む七瀬に、身を縮こまらせながら「でも、プレゼント買いに行くだけだし…」と言うと、「アンタバッカじゃないの!?」と怒られてしまった。



「そんなのデートに誘う口実に決まってるじゃない!あーもー!なんでこんなに警戒心がないのかしら!?」


「え、でも付き合ってた時も一緒に行ってたし、妹ちゃんの誕生日私と一日違いだから、嘘ではないよ?」


「私が言ってんのはそこじゃないわよ!!」



私が必死に弁解するも、七瀬の言葉に一蹴されてしまった。

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