第71話

「七美!ちょっと聞いてるの!?」



七瀬の声にハッと前に顔をあげると、眉間にシワを寄せて訝しげな顔をした七瀬と目が合った。



「あ、ごめんっ…なんだっけ?」



上の空のままご飯を食べに来て、パスタをフォークで巻いたまま止まっていたらしい私は、慌てて七瀬に答えた。



「七美、アンタ今日大丈夫?ぼーっとし過ぎじゃない?何かあったの?」


「あ、ううん。何でもないよ。ごめん、で、なんだっけ?」



七瀬がそれでも疑うような視線を向けながら、フォークにパスタを綺麗に巻いていく。



「私、月曜の会議の後から、3日間大阪に出張なんだけど、その間大丈夫なの?って話!」


「あ、ああ、うん。文也の事なら大丈夫だよ。」


「ならいいんだけど、アレから何もないの?」



七瀬が心配する程、何かが起こるような気が全くしない私は、苦笑いしながら答えた。

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