第68話

「え、じゃあ七瀬、今日車で来たの?」


「そうよ?電車で送り迎えなんて大変だもの。」


「え!ごめんっ!まさかそこまでしてくれるとは思ってなかった…いいの?」



七瀬がそこまでしてくれる事が、嬉しいような申し訳ないような、なんとも言えない気持ちで言うと、



「そうねー。私、今日は駅前のパスタでいいわ」


と、七瀬がニッと意地悪く笑った。


…ですよね。そうきますよね。


「は、はーい、奢らせて頂きまーす」と、私が若干項垂れ気味に手を挙げて答えると、「冗談よ」と、七瀬がフッと笑いながら私の頭をポンポンと撫でた。



まただ。



また、身構えてなかっただけに、頬に熱が集まっていく。


あーもー!何で赤くなるかな!?私っ!!



恥ずかしさに視線を逸らしながらゴメン、と七瀬に言いそうになって、あ、と思い言い直す。



「あ、ありがとう」


「どういたしまして」



私の微妙な反応に、気付いているのかいないのか、七瀬が少し小首を傾げながら良く出来ました、と言わんばかりに優しく笑った。

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