第52話

目を見開いて固まる私を見て、七瀬が大きな溜息を吐いた。



「アンタそんなんじゃ、二階堂君撃退出来ないわよ?私なんかの言葉で固まるようじゃ全然ダメね。」



え、え、は?

ど、どういう意味??

今、のは、文也撃退に、私を試したって、事で、いいんだよね???



「やだ、ちょっと何本気で固まってんのよ。」



七瀬のその言葉で、私は止めてた息を一気に吐き出した。


今のは、今日一番ビックリした出来事だったよ。本気で。


ふぅーっと息を吐き出しながら、服をパタパタさせてしまった。変な汗かいちゃったじゃんか。


取り敢えず、「よ、寄ってかなくて、いいんだよね?」と、なんとなく確認でもう一度聞くと、



「アンタ明日金曜日よ?朝から営業会議があるの。私そんな暇じゃないわ。」



と、アッサリ断られた。


車を降りて、七瀬に手を振り見送りながら、今日は色んな意味でドキドキした一日だった、となんとなく胸を撫で下ろした。

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