第51話

「本当、今日はありがとう。また今度なんかお礼するね?何も無いけど、上がってく?お茶とお菓子くらいなら…」



そう言いかけた私のおデコに、七瀬がデコピンをしてきた。



「本当、警戒心の無い子ね。だからあんな風に元彼にもグイグイ押されんのよ。」


「え?」



え、え?何でデコピン?

私、今度はちゃんとゴメンじゃなくてありがとうって言ったよね??


困惑しながらおデコを押さえる私の、今度は片方の頬を七瀬がつねった。



「何でアンタは私を平気で、しかも夜に、部屋に上げようとする訳?」


「え?だって、送ってもらったし、お茶くらいはって思って…って七瀬痛いよぉ」


「あら、七美は送ってもらったら誰でも家にあげちゃうの?」


「だ、誰でもって訳じゃ…!」


「じゃあ、どうして私は大丈夫なの?」


「な、七瀬だから…?」


「どうして?」


「え、どうしてって…」



何が言いたいのか分からなくて困惑する私に、七瀬がグイッと顔を近付けて言った。



「私、一応男よ?」



分かってるようで、分かっていない言葉の意味に、私は目を見開いた。

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