第45話

「お前が七美じゃなきゃダメだって思うのと同じように、俺だって七美じゃなきゃダメなんだよ。」



一瞬、ドキッと大きく心臓が飛び跳ねた。


いやいや、うん。

七瀬のコレは演技だ。うん。分かってる。


頭では分かってるんだけど、本格的な男バージョン七瀬を見たのが初めてだったからなのか、さっきから妙にドキドキが治らない。


落ち着け、私。

コレは、あの七瀬だよ?私と一緒でイケメンが大好きな七瀬だよ?取り敢えず、落ち着け私の心臓!


七瀬の言葉に文也は何かが吹っ切れたのか、たじろいでたさっきとは打って変わって、身長が同じくらいの七瀬を見据えるように見つめた。



「けど、アンタじゃ七美は幸せに出来ない。俺、七美の事諦めませんから。」



え、ちょっと!

文也は、さっきの私の反応を大きく勘違いしている。

フォローしようにも、七瀬とは本当に付き合ってる訳でもないから何も言いようがなくて、一人オロオロと私は目を泳がせた。

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