第44話

けど、ジッと七瀬を見ていた文也は、少しだけ眉間にシワを寄せて固い表情に変わった。



「あの、あなた本当に、七美の彼氏ですか?」


「そうだけど、何で?」



文也の疑うような質問にも、七瀬は迷う事なく即答する。さすが七瀬!普段から、営業で演技力を鍛えてるだけあるわ。


ドキドキしながら、隣で二人のやり取りを見守っていると、文也が訝しげな表情で七瀬を見た。



「いや、正直、あなたみたいな人であれば、他にも女はいっぱい寄ってくるんじゃ…」

「だから、七美をやめて他の女にしろって?」



文也が最後まで言う前に、七瀬が言葉を被せて遮った。


え、七瀬、なんか怒ってる…?


若干ハラハラしながら七瀬を見ると、案の定、眉間にシワが寄っている。



「や、別に、そうは言って、」

「同じだろ。おまえ、わかってねーな。」



文也が少したじろいで言うと、七瀬がまた言葉を遮った。


お、おお男バージョン七瀬、怖いんですけどっ!!

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