第42話

「文也、もう昔の話はやめよう?お互い気まずくなるだけだしさ?」



あと少しで南口のロータリーまで着くのに、ずっとこの話題は正直キツイ。


すると、文也が私の方に顔を向けて覗き込むように見てきた。



「七美、今、幸せか?」


「…な、なんで?」



そういう質問を、突然するなんてズルい。


質問の内容を想定していなかった私は、見事に狼狽えて文也に訝しげに見られてしまった。



「幸せなら、それでいい。いや、まあ、正直、諦めたくはないけどさ。けど、そうでないなら、七美の事全力で奪う。」



一瞬、自分の周りの時間が止まったのかと思える程、何も聞こえなくなった。


文也は、本当に…ズルイと思う。

私がまだ、文也の事忘れてない事分かってて言ってる。


本当、今更なんなのよ、って思ってる自分もいるけど、同時にあの文也が、自分にここまで執着している事に驚いて、少し心動かされてる自分もいた。


まさか、久々の合コンがこんな展開になるなんて、想像もしてなかった。

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