第41話

「今日、七美に会えるとは思ってなかったから、スゲー嬉しかった。」



しばらく無言で歩いていたのに、文也が突然私の方を見て笑顔で呟くので、不意打ち過ぎて一瞬ドキッとしてしまった。



「俺さー、本当あの時馬鹿だったなぁって最近よく思うんだよな。今更なのは十分分かってるんだけど、他の子と付き合ってみて、やっぱ俺には七美しかいないって嫌って程思い知らされたっつーか。」



文也が前を向きながら、独り言の様に呟いた。


…本当、今更過ぎるよ。

なんとも答えようがなくて、私は黙ったまま隣を歩いた。


ってか、あの頃の気持ちが自分の中で蒸し返されそうで嫌だから、あえて何も喋りたくない。


意識してないなら、一緒にいても平気なはずなのに、どこかあの頃を思い出してイライラしてる自分がいて、まだ完全には吹っ切れてないんだな、と思い知らされる。

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