第38話

「あ、いや、でも、私迎えが来るから…」



語尾を濁しつつやんわり断っても、



「でも、この辺車入れないし、駅まで行くんでしょ?だったら、そこまでは送ってくよ。」



全く折れない。

ってか、折れる気なさそう…。


あーもー、なんでこうなるかなぁ。


若干の面倒くささを感じながら、雰囲気的に文也と帰るしかなさそうだ。


みんなが入り口まで送ろうと立ち上がって若干騒つく中で、文也がコソッと話しかけてきた。



「迎えって彼氏?」


「うん。」



思わず反射的に頷いて、しまった!と思った。


や、ってか、私、彼氏いないじゃん!?

…どうしよう、これ結構マズイかも。文也の口ぶりから、迎えが来るまでは帰ってくれなさそうだ。



「あ、ごめん!私さっきトイレに忘れ物した!ちょっと行ってくるっ」



慌てた振りをして、文也達から急いで離れてトイレに走った。

こうなったら、最終手段に出るしかない!


七瀬に電話しようっ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る