第33話
「何してる人?いくつ?」
文也がグラスを置いて、私を真正面から見てくる。
ゔ…どうしよう。今更嘘なんて言える空気じゃないし、なんて答えよう…?
その時、何故かパッと七瀬の事が頭に浮かんだ。
うーん…取り敢えず、七瀬の特徴をぼやかして言っとこうかな…?勿論、オネエである事を伏せて。
「お、同じ会社の先輩で、歳は三個上。」
あーもう。何が悲しくて、架空の彼氏作んなきゃなんないのよ。嘘ついてる事に、なんとなく後ろめたさみたいなものを感じながら、カシスオレンジを口に含んだ。
「…そっか。俺も菓子事業部にしとけば良かった。そしたら、どんな奴か分かったのにな。」
うん?えっと、それってどういう意味…?
もしかして、私の彼氏の存在を気にしてる?なんて、都合良く考えてしまいそうになる。
けど、正直、文也に気まずさは感じても、もうドキドキするようなときめきは感じていない自分がいて。
曖昧な笑顔を返事の代わりに返した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます