第32話
「七美、変わってないね。」
文也がグラスを少し傾けながら、私の方をチラリと見た。
まだ、一年しか経ってないし。
なんて心の中で突っ込みながら、曖昧に笑って濁した。
…ってか、文也彼女はどうしたんだろう?
確か、私と別れて直ぐに浮気相手の子と付き合っていたはず。
話題に出すのも嫌だし、あえて聞かないでいたのに。
「俺、彼女と別れたんだ。」
「え?」
突然、文也が自分で言い出したもんだから、つい聞き返してしまった。
「七美は?今付き合ってるヤツいるの?」
そう聞かれて、合コンに来ている時点でいないと思われてるのがなんとなく悔しくて、つい、
「いるよ」
なんて見栄を張ってしまって、直ぐに後悔した。
「え、いるの?」
案の定、文也が驚いた顔で聞いてきた。
うん、だよね。なら何で合コンに来てるんだって話だよね。若干、冷や汗をかきながら、「人数合わせで来たから…」と小声で言ってみた。
周りが騒がしくて、文也ぐらいしか聞いてないからよかったけれど、これで今日の合コン終わったな…と、心の中で項垂れる。あーあ、私バカじゃん。自分で出会いのきっかけ潰しちゃったよ。
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