第20話
他社に足を踏み入れる事自体が初めての私は、受付から担当の人がいる階までの道順等全てを七瀬に任せきりになってしまって、自分で行くと言い張った事を情けなく感じていた。
自分じゃ、会社の場所さえもよく分からなかった癖に、謝罪に自分が行くなんて大きな事言って、七瀬はどう思ったんだろう…。
呆れられているのは間違いないんだろうな、と自分のミスと合わせて妙に気持ちが沈んでいく。
応接室に七瀬と二人通されて、緊張しながら立っていると、七瀬が小声で念を押してきた。
「いい?余計な事はしないのよ?」
私は無言で頷きながら、コンコンとノックの後に続くガチャっと扉が開く音に、つい、衝動的に頭を下げて
「申し訳ございませんっ!!」
と、叫んでしまっていた。
隣で小さく七瀬の、チッと舌打ちする音が聞こえた気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます