第18話
「何よ?さっきからボーッとしちゃって。今からでも帰っていいのよ?」
ハンドルを握りながら、七瀬がチラリとこっちをみて少し笑った。
運転する七瀬なんて初めて見た私は、七瀬を何だか知らない人のように感じてしまって、妙に緊張していつもみたいに喋れないでいた。
「違っ…、帰らないよっ!確かに少し怖くて緊張してるのもあるんだけど、七瀬運転出来たんだなぁと思って。私、知らなかった。」
正直に思ってる事を言ってみた。
別に知らないからってどうって事無いんだけど、親友って言う割には、私七瀬の事あまり知らないのかもってショックだったのだ。
けど、七瀬は少しだけこちらに顔を向けて、プッと噴き出した。
「ヤダ七美っ!そんな事気にしてたの?フフッ。私営業だし、逆に七美が知らないなんて思わなかったわよ。だから特別言わなかっただけで、別に内緒とかにしてた訳じゃないわよ?」
七瀬がクスクス笑いながら、「私、車も持ってるから、今度乗せてあげるわ」と、信号で車が止まった時にこちらを振り向いて微笑んだ。
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