第17話

その七瀬の頭の撫で方に一瞬ドキッとして、立ち止まってしまった。


でも直ぐに我に返って、七瀬の後を追いかける。


…私、何一瞬ドキッとなんてしてるんだろ。

相手は七瀬なのに。


今まで、七瀬を異性として感じた事は一度もなかった。

だから一瞬自分の感覚に戸惑ったけれど、直ぐにその思考をかき消した。うん、まさか七瀬に異性を感じるわけない。勘違いよね。




七瀬の後を追いかけていると、会社の駐車場に着いた。



「ほら、何ボーッとしてるのよ!早く乗って頂戴。」



七瀬の掛け声に、あ、そうか。と急いで助手席に座る。

七瀬とはいつも、電車か徒歩でお互い移動するから、七瀬が運転してくれる事が何だか意外に感じてしまった。


…そうだよね、七瀬は営業だもん。外出時は車だよね、当然。


同じ『女子』として、七瀬の事を見ていた私は、七瀬も当然免許を持っていないものだと思い込んでいた。


七瀬と好みが同じなだけで、七瀬の事を知り尽くしている気になっていた私は、何だか少しだけショックに感じてしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る