第4話

「キャーっ!見て見て七美!!アレもコレも可愛くて美味しそうっ!迷うわー!」



目をキラキラ輝かせながら、七瀬がケーキの入ったショーケースを眺めている。


うん、私は慣れてるからいいんだけどね、私は。

周りの女性客がみんな、明らかに七瀬を見て戸惑っている。そりゃそうだ。外見だけはモデル並みに良い上に、イケメン度を割り増しさせるスーツをカッコよく着こなしているのだ。

それなのに、このバリバリなオネエ口調。戸惑うよね、普通。



「ちょ、七瀬!他にもお客さん居るんだからね!?もう少し静かに選んでよっ」



私の言葉に周りをチラッとみた七瀬は、「あら、ヤダ。ごめんなさいね?」と営業スマイルを振りまきながら、「七美、アンタこれ頼んでよ。私こっち頼むから。半分個しましょ」と、さっさと決めてしまった。


七瀬の好みと私の好みは、シンクロしてるのか!?って程に同じなので、黙って私はコクンと頷いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る