6 一気にパワーアップ
――ふたたびダンジョンらしき場所に移動した。
さっきは青いダンジョンだったけど、今度は黄色い外壁だ。
前方から10体のゴブリンが歩いてきた。
同時に10体と戦うのか。
いくら一体一体が弱いとはいえ、10体もいると話は違ってくる。
一体二体と戦っているうちに、別の個体が死角から攻撃してくるのだ。
「ちいっ……」
俺は大きく後退し、壁を背にした。
「これなら背後からは攻撃されない――来い!」
俺は吠えた。
襲いくるゴブリンたちを次々に斬り伏せていき、やがて全滅させることができた。
ゴブリン3体討伐を終えた時点で俺のステータスが上がっていたためか、さっきよりも簡単にゴブリンを討つことができた。
「……ふう、思ったより楽にクリアできたぞ」
すると同時に、
ぴろりいいん。
レベルアップ音とともに、俺のステータスが目の前に表示される。
――――――
名前:ゼル・スターク
種族:デモンブレイダー
ちから:15→33
はやさ:19→41
HP:57→109
MP:0
スキル:【上段斬り】【中段突き】【下段払い】
――――――
「おお、また上がった!」
さっきよりも数値の上昇幅が大きい。
種族が『
「とにかく次だ。強くなれるだけなるぞ」
『クリア条件:ダークメイジ3体を討伐』
『挑戦しますか? はい/いいえ』
ダークメイジ……今度は魔術師系のモンスターか。
当然、『はい』にした。
ぴろりん、と音がして、十メートルほど向こうに黒いローブを着た魔術師が3体出現する。
ダークメイジ。
魔術師型のモンスターである。
強力な魔法攻撃を操る反面、体力や近接戦闘能力はかなり低い。
接近戦を仕掛ければ、まず間違いなく勝てるだろう。
ただし――。
ごうっ!
ごうっ!
ごうっ!
三体のダークメイジがいっせいに火球を放ってきた。
火炎魔法の連射攻撃だ。
俺の方は防御や迎撃の手段はない。
剣で火球は切れないし、防げない。
「逃げるしかない――」
回避一択。
俺は迫りくる火球群から逃げ回った。
とはいえ、それほど広くない闘技場では、すぐに逃げ場がなくなってしまう。
あっという間に俺は端まで追いつめられた。
闘技場から出れば負け――つまり、これ以上は後ろに下がれない。
ごうっ!
ごうっ!
ごうっ!
なおもダークメイジたちは火炎魔法を連発する。
「くっ……火炎魔法ばっかり撃ってくるな、こいつら!」
炎は効果範囲が広く、避けづらい。
発動が遅いため、一発撃ってきた後、次を撃つまでに間合いを詰めたいところだが――。
奴らは三体が少しずつタイミングをずらして撃ってくるので、攻撃のタイムラグという弱点をある程度カバーしているのだ。
「近づけない……」
こっちは剣の間合いで戦うのに、向こうは飛び道具――一方的な戦いだった。
そうこうしているうちに、三体の火炎が俺に迫ってきて――。
「あー……負けた」
俺は顔をしかめた。
ライフは残り二つ。
これを全部失うと、闘技場からは強制退場になり、また一定条件を満たさないと再入場はできなくなる。
「もう一回挑戦したいな……でも、作戦を立てないと駄目か」
ただがむしゃらに戦っても、さっきの二の舞である。
相手は飛び道具だし、根本的に間合いが違う。
俺の攻撃が届かないはるか遠くの間合いから、相手だけが一方的に攻撃できるのである。
「しかも相手は3体いるから集中砲火を浴びるし、不利すぎるよな……」
うーん、どうしよう。
こっちも飛び道具があれば違うんだろうけど――。
「厳しいよな……けど、なんとかするしかない」
昔の俺だったら、こういうときすぐ諦めてた。
恥ずかしながら――俺は困難があると、割とすぐ逃げる性質だ。
前世で勤めていたブラック企業でも、理不尽に仕事を押し付けられたり、自分の責任じゃないところで怒られたり……。
そう言ったことに対して『違う』と声を上げられなかった。
怖くて、無抵抗だった。
ただ諦めて、受け入れていた。
自分でもよく自覚しているし、そんな自分が嫌いだった。
その俺が、今はこうして困難に立ち向かおうとしている。
ごく自然に。
いつの間にか、俺はそういう人間になっていたのかな。
あるいは――。
「仲間の存在、か」
あいつらを助けたいから――その気持ちが自然と、俺に『困難に立ち向かう意志』を授けてくれている……!
「はは」
笑みがもれた。
今の俺を――俺は割と気に入っているかもしれない。
と、考えたところで、俺は一つの考えを閃いた。
「一か八かだけど……上手く行けばハマるかも……!」
幸い、まだ挑戦権は二回あるんだ。
「やってみるか」
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