第5話 本当の想い

「あれ?前にも言わなかったっけ?」と僕は疑う。「一目惚れだけじゃ分からない!!」と楓が言う。一目惚れでも十分な理由だと思うが、楓はそれ以上に聞きたい理由があるのだろうか。「じゃあ楓のことを好きになったきっかけを全部話すわ。」なぜか少し声が震える。しかしこう言ってしまった以上言わない選択肢はない。「初めてすれ違ったあの日、なぜかいつもよりとても天気が良かった。前から歩いてくる楓を見て最初はここら辺では見ない顔だなって思った。そう考えているうちに楓は僕の横を通り過ぎてまともに顔も見えなかった。そこでもう一度会いたいって思わず呟いてしまったんだ。そこから同じ時間、同じ道を通っても楓となかなか会わなかった。けど初めて楓とすれ違ってからしばらく経ったあと、また楓とすれ違う日が来たんだ。その時はちゃんと顔を見ようって思ったんだけどその時はMと一緒に帰ってて話すのに夢中で楓の姿を見れなかった。けど僕の横を通り過ぎた時、学生証を落としていったんだ。そこで僕はこれを届けたら楓の姿も見れるし、運が良ければ連絡先とか交換出来るかもしれないって勝手に思ってた。そしたら運良く連絡先も交換出来てそこから好きという感情が生まれたんだ。」長々と話す僕に楓は一切目をそらさずに聞いた。「話してくれてありがとう。ずっとその言葉を待っていたよ。」「その言葉?」すぐに僕は質問する。「うん。告白以外での好きっていう言葉!」確かに今まで僕は告白以降好きとかという言葉を使ってなかった。楓は僕に好きと言わせたかったのだろうか。

その日はそんな話をして終わった。その後、僕と楓は高校卒業まで付き合っていた。

高校卒業してお互いに違う大学に行ったが、連絡は取り合っていた。しかし高校時代のように毎日会うということは難しくなっていた。(最近どこにも遊びに行けてないな…)と最近思うようになってきた。「そうだ、久しぶりに楓とデートに行こう!」意外と答えはすぐに出た。楓とデートするのは告白した日が最後であった。僕は今回のデートで結婚して欲しいと伝える予定もたてた。そこでまたMに相談した。「そうか、今度は結婚をする話に持ち込みたいんだな。ごめん、俺はそこまで考えたことがなかったからこういう風にしろとは言い難い。けどもうお前の方が俺より恋愛経験豊富だろ?だから自分に自信を持って1人で計画してみたらどうだ?それで失敗してしまったら仕方がない。それも人生経験の一つだ。けど今のお前なら必ず成功すると思う。だから頑張ってこい!」Mにそう励まされた僕は以前のデートよりもより真剣に考えることにした。

第6話へ続く

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