第87話
「っ、」
声の端が震えて
泣き出しそうな自分に気付く。
自分から復縁を言い出すつもりのないももさんと
自分の気持ちを伝えるのが怖い夏向さん。
お互い向き合ってるはずなのに
2人はあと一歩のところでギリギリすれ違って進展出来ない。
このまま私が黙っていれば
もしかしたら“阻止”できるかもしれない。
そして、いつか
夏向さんが私を好きになってくれるかもしれない。
夏向さんが好き。
諦めたくなかった。
―――だけど。
唇を強く噛んでそれを必死に堪えると
私はもう一度小さく笑った。
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